小学生のある日、私はめずらしく一人、昼寝をしていた。
ふと何かの気配に目を覚まし、うっすら目を開けると、足元に母が立っていた。
私は「母さん、母さんよね?」となぜか不安になり聞いた。
すると母と思われる人が、「違う、私は宇宙人だ」と言うのだ。
たぶん、母はよく冗談を言う人だったから、からかわれたのだと思う。でも私はその時の事をあまりの違和感の大きさに、今でもはっきりと覚えているくらいなのだ。昭和のあの頃は、オカルトブームで私も夢中になった。母は私がそういうのを好きだと知っていたから、冗談を言ったのかもしれない。その日の夜、母にそのことを聞いたけど、「そんなの知らない」と相手にしてくれなかった。真相は闇の中だ。
私は大人になった今でも、あの時の母は宇宙人だと思っている。かなりヤバい私・・・。でもなんだろう、上手く言えないけど、そうだと思う。母の姿をしていても、中身が違うと子供心に思ったのだ。タンスの前に立ち、私の足元にいた母と思われる者・・。一体何をしていたのだろう?不思議だ。
何事も自分の解釈次第で楽しくも悲しくもなる。つらかった子供時代にも、時々楽しい事があったって思った方が救われるのなら、私は楽しく解釈することにする。でもやっぱり宇宙人だと思うんだよなあ・・・。まんまとオカルトブームに飲み込まれたまま大人になった私。まあ、いっか楽しいから。