なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

性に合うことをしよう

小学生の頃、絵を習いたかった。

でも田舎で、そんな先生もおらず経済的に余裕のなかった我が家。母は「そんな教室はない」とピシャリ。仕方ないか・・・って思った。絵は上手くないけど、大好きだった。落書き帳に一人でマンガを描いたり、美術の本のゴッホピカソの絵なんか何回も見て、すごいな~っと思ったものだ。

美的な感覚からは程遠かった我が家。それが証拠に茶の間には親戚の結婚式の時にもらったであろう武者小路実篤の名言「仲良きことは美しき哉」のコピーとハワイのワイキキビーチの写真が隣り合わせに平気で飾られていた。私はいつも落ち着かなさを感じながらご飯を食べていたものだった。

絵がダメだと言われてから、しばらくして、母が私に相談もなく勝手に習字教室に申し込みをしてきた。「あんた、明日から、習字に行き」と・・・。

私は絵を習いたいのに・・・。足を引きずり、いやいや教室へ向かう。そんな気持ちのせいか、いつも、筆、文鎮、半紙、など、いずれかの道具を忘れる。そして先生に怒られるのだ。

今なら、書もアートと分かるが、子どもの私には分かるはずもない。そんな事を毎回繰り返しているうちに、習字の先生が来なくていいと言ったのか、母が断ったのかは知らないけれど、母が「もう、行かなくていい」と言った。やった~。正直うれしかった。

でも大人になって思う。真面目に練習して段を取っていけば、書道の先生になれたかも・・。あ~でも、そんなタイプではないかなあ・・・。物静かで優しく知的で、憧れるけどやっぱり私は好きに絵を描く方が、性に合う。カラフルに楽しく色を塗って・・。