なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

ともに

片付けをして処分する物を、次のゴミの収集まで、とりあえず2階の一室に置いた。その中に30年くらい使った鍋も含まれていた。入れ子になり、ハンドルは取り外せるデザインの美しい鍋。その鍋で、揚げ物、煮物、炊飯まで家族のごはんを作ってきた。当時の私にとっては、高価だったから、確か分割で買ったと思う。ずっと一生使うと思っていたけど、あまりに思い出がありすぎた。

鍋を2階に持って上がったとき、階段のところに気配を感じた。上まで上がってこず、中途の段で止まってこっちを見ている感じ。娘しかこの家にいないから、たぶん娘が私を驚かそうとしているんだと思った。「何よ。も~っ」と言って振り返ったが誰もいない。鳥肌がたった。下に向かって、「今、階段上がってきたよね?」と確認すると、娘はイスから一歩も動いていないと言うではないか・・・。私には霊感はないけど何か居る・・・。急いで下に行き娘に話す。2人で2階に上がるとやっぱり何かの気配を感じる。2人して自宅から少しの間外出。戻ってきた時には気配は消えていた。

モノには魂が宿るという。長い間使っていたモノには、何かそういうことがあるかもしれない。処分するときにはお礼を言った。私の一部のように当たり前にあった鍋。一つ一つそういうものを処分して新しくなる時なのかもしれない。