なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

家のあかりと悲しい心

夕方、娘と2人で近所を散歩した。いつも通らない道を行く。家からほんの数分歩いただけなのに違う街のようだ。家から明かりが漏れ、人の気配を外からでも感じる。なんだか悲しい気持ちになった。こんなにたくさんの人が住んでいるのに、全く知らない人がほとんど。近所なのにである。隣近所ではないにせよ、こんなに近いのにだ。自分がちゃんと人と関わってこれていない証拠を突き付けられたようだ。今、助けを求めても「どうしたの?」とドアを開けてくれる人はいったい何人いるだろうか?自分が周りと距離を置いた結果だ。でもその時の私は精一杯だった。理解してはもらえないかもしれないけれど溺れかかっていた。他人には見えない海で一人手足をばたつかせ沈みかかって息もできなかった。元気だったらできた会話も付き合いも私には無理だった。そんなことを思っていたら家に着いていた。

娘と家の電気をつける。帰る家があって娘がいる。それだけでも十分幸せだ。関わる必要がある人とはまた会えるだろう。新しく出会う人も出てくるかもしれない。今はその時ではないだけ。手を洗いながら自分にそう言い聞かせた。