なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

思い出の焼きそば

小学生のとき、家の庭で友人と遊んでいた。家の横をおばあさんが乗った自転車が一台、通り過ぎていくのが見えた。だが突然バランスを崩し、隣の家の庭に倒れた。私は、急いで駆け寄っていった。おばあさんにケガはなく、自転車を起こしただけで済んだ。

友人も帰り、夕方になったころ、近所のおばあさんが家に訪ねてきた。母がおばあさんと何やら話をしている。昼間、私が助けたおばあさんは近所の人だったのだ。その近所のおばあさんを知っていたが、顔をはっきり覚えていなかったのでそのときは分からなかった。どうも、お礼をわざわざ言いに来てくれたらしかった。お礼の気持ちにと、おばあさん手作りの焼きそばをいただいた。焼きそばは、ちょっぴり大人な味だったけれど、わざわざ作って持ってきてくれたことが嬉しくて、一気に平らげた。そのおばあさんとは、ほとんど話をしたことはなかったけれど、心が通じたような、今でも優しい気持ちになる思い出だ。