なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

はじめて大きくなった南天

今からかれこれ17年前、ここに引っ越してきてまだ塀も完成していない頃に「ここは方角的によくないよ」と言って南天の木を植えてくれた人がいた。小さな南天の木。それ以来不思議なことにその人には一度も会うこともなく、お礼をもっとちゃんと言っておけばよかったって本当に後悔した。

しばらくして塀が完成したのだけど、その後少しして南天を植えてもらった辺りを当て逃げされてしまった。塀は少し壊れてしまったけれど、人が巻き込まれてケガをすることもなかったし、ブロックがズレた程度で大事には至らなかった。これも南天のおかげだ。

だけど南天の木は枯れる事こそなかったけれど、植えてもらったときのまま小さく成長せずにいた。葉もさみし気でなんだか植えてくれたその人に申し訳なくなるくらいに何年もその当時の姿のまま時が過ぎていった。が、先日家の前をほうきで掃いている時、何気なくふと見てみると、生き生きとして葉っぱが茂っている南天の姿があった。驚いて思わず二度見してしまったくらいだ。

去年家のものを8割捨てることにチャレンジしていた時、庭もだいぶ整理した。とはいえ、ほとんど生育条件的には変わっていないというのにキレイな葉をたくさんつけ、心なしか背丈も伸びているではないか。なんだかいいエネルギーが流れるようになったのかもしれないって思った。南天は難を転じて福となすとされ縁起の良い木で鬼門除けとしても庭に植えられるものだから、邪気を払う力もあるのだろう。今までもしかしてそれだけ、あまり良くない気がたくさんうちに流れてきていたから南天も成長できなかったのかもしれない。守るのに精一杯だったのだろう。今までつらい事続きだったけど、自分達も南天の木みたいに生き生きとできる時がやっと来たのかもしれない。南天の姿はそれを自分達に黙って教えてくれている。あと少しだ、頑張れ自分達。そしてありがとう南天