なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

向かう先が見つかったものの強さ

何年前になるだろう、忘れるくらい昔に庭に植えたブラックベリー。植えた時は嬉しくてフェンスにはわして実がなるのを楽しみに世話をしていた。ぐんぐんと伸びるブラックベリー。やがてフェンスを覆い隠すように成長したくさんの実を付けた。ヨーグルトにのせたり、ジャムにしたりして楽しんだものだ。その頃、私はベリーに凝っていて、マルベリーやブルーベリーも植木鉢で育てていた。鳥や虫が来る庭にしたいと思っていたからだ。でも色んなことがあって、庭の世話もできなくなってしまった。泣く泣く一つ一つ処分し庭を片付けていった。ブラックベリーも根元でカットした。フェンスにはわす作業すらできなくなっていたからだ。それでも毎年のようにブラックベリーは芽を出してくれた。少し伸びたつる。私がフェンスに誘引しないから、土の上でどっちに伸びたらいいのか迷ったようにしている。そしてあまり伸びずに元気がない。私はそのころ植物を労わってやる元気すらなくイライラして根元でチョキンと切ってしまっていた。そんな繰り返しが何年も続いた。が、今年私はフェンスにつるをまた伸ばしてやろうと思ったのだ。紐でゆるく、くくってやるとぐんぐんと伸び始めた。見るたびに伸びているよう。

行く先が定まったブラックベリーは迷いなくぐんぐんと伸びる。自分の力を最大限につるの先に集中し、突っ走る。今までと何も変わりのない条件、環境であるにもかかわらずだ。土の上で吹く風に左右されていた頃とは全く違い、生き生きとし、力強い。植物でも人間でも自分の向かう先が決まったものは迷いなく強い。ほんの少しの誰かの力添えで花咲くこともあるのだ。ブラックベリーに自分を重ねる。うまくいき、来年になって実がなる頃には、私と娘はどうなっているだろう?きっと自分達もたくさん実をつけているはず。そう信じて今日もブラックベリーの成長を見守る私。うん、大丈夫だ。きっと。

 

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