なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

忘れてしまいがちな大切な事

朝、庭に出ると小さなスズメが倒れていた。どうしたのだろう?とりあえず、スコップにのせ木の根元まで運んでみる。全く動かない。死んでいるのかな?天を仰いだ状態で小さな足をぎゅっとしている。子供のスズメみたいだ。ふわっとした毛は柔らかく暖かそうなのに動かないという現実がとても悲しく私の胸を冷たくする。しばらくじっと見ていたけど動く気配がない。直接触ることはできないから体温を直に感じられない分、確かめるすべはしばらく見ているか、スコップの先で少しつついてみるしかない。つんとつついても、つつかれたまま硬くなったからだが揺れるだけだった。やっぱり死んでいるみたいだ・・。木の根元に穴を掘り、スコップでそっと運んで土をかけた。カラスや猫に掘りおこされないように庭にある小さな石を置いた。朝、通学している小学生が何をしているのだろうとこっちをちらっと見てきた。

生きているものと死んでいるものがすぐ隣にあるこの世の中。昨日まで生きていたであろう子スズメ。おそらく、うちの庭によく来ているスズメの中の一羽であろうと思う。何で死んじゃったのかは、分からないけれど、一羽だけ朝を迎えることができなかったのだ。生きているって当たり前じゃない。みんな死に向かって歩いていくことだけは確かで避けることはできないのに、それを忘れ雑に一日を過ごしてしまう。小さなスズメの亡骸を見て、そんな大切な事を改めて思い出す。その日の夕方、いつもよりたくさんのスズメがいつもより長く鳴いていた。大勢のスズメのチュンチュンという声はもしかしたらまだ早すぎる子スズメの死を思ってのレクイエムだったのかもしれない。