なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

かにかまブルース

子育て真っ最中の時、いかにして安い食材でボリュームを出すかという事に頭を悩ませていた。

その頃、かにかまがよく安売りになっていた。かにかまで、何か豪華な一品はできないものか・・・料理本をパラパラしてみる。その当時スマホも持っていなかったから、今みたいに”かにかま メニュー”などと検索をすることもできない。ページをめくると、おいしそうな天津飯が載っていた。

これだ!卵とかにかま、甘酢のたれさえ、作れれば夕飯の一品が完成する。本を見ながら、なんとか作ってみる。娘も珍しさもあったのだろう。「おいしい」と言ってくれた。卵とかにかまという、いつでも手に入り、しかもリーズナブルな食材で、目先の変わったおいしいごはんができる。思いのほか、受けが良かった事に味をしめ、しばらくの間、天津飯はよく我が家の食卓に上った。

しかし、あまりに密に作り過ぎた。そのうち、家族も「またか」みたいな感じになり、最初の驚きや感動は色褪せ、雑に扱われていく。私もそんな空気に作るのをやめた。

いつしか、そんなメニューを作っていたことも忘れていた頃、娘に「最近、天津飯作らないね。おいしかったのに」と言われた。家族ってそんなもん。「またこれ~」みたいに言っていたではないか。メニューって考えるの本当に大変なんだぞ、と世のお母さんを代表して言いたい、今日この頃の私。

久しぶりすぎて、作り方がうる覚えだけど、天津飯また作ってみよう。