なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

白くなった心と立ち上がるための黒

約一年ぶりに髪を染めた。白くなった髪の毛。このまま憧れのグレイヘアを目指そうと思っていたのだが、染めることにした。以前ヘナ染めをしていた。オレンジのヘナで染め、もう一度暗めのヘナで染めるとつややかになって気に入っていたのだが、ある時から体に合わなくなってしまった。

それから、数年自分に合う毛染めに出会えずにいたため、放置されていた髪の毛。白髪のためか少し乾燥し、パサついていて何となく気分も落ち込んでいた。でも髪の毛どころではないバタバタ続きのこの数年。やっと少し自分に目を向けられるようになったのはごく最近のこと。ほんとに昨日くらいかもしれない。

未来を想えばまだまだ不安だらだけど、落ち込んでばかりでも仕方ない。重い腰をあげ、染める準備をしていると、娘が「染めてあげる」と言ってくれた。表面のひどいところだけを染め、内側の白い所は残してみることにした。頭を洗ってドライヤーで乾かすとキレイに染まっているではないか。娘にお礼を言う。

髪の色でずいぶん印象も違うものだなと、まじまじ鏡を見て思う。内側に残した白い部分もいい味を出している。心の奥にひっそりとしまった真っ白になってしまった過去みたいに髪の毛を後ろへ流すたびにちらちらと見える白髪。もういいのではないだろうか。いつまでも見続けてため息をつく必要もないだろう。黒くなった部分がから元気のウソだとしても、それはそれで構わない。時として、それが自分を守るためのすべや立ち上がるきっかけになることだってあると今は思うのだ。