なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

大黒様との必然の出会い

いつもより少し遅く家を出た。日課となりつつある散歩に行くためだ。その日一日の様々な色が自分を主張しながら混じり合い空を美しく染める。雲もとってもキレイ。散歩をすると色々な発見がある。同じ日は一日としてないことを空の色や雲の形からも知る。

いつもは家を出てまっすぐに進んで大きな道沿いに歩くのだけれど、今日は前方に白い車が停まっていて、なんだかとうせんぼされているみたいに感じた。なので娘に右の小道に行こうと手でサインをする。右に折れても少しすればまたいつもの道に戻れるからだ。少し歩いて大きな道にいくかそのまま小道を進んで、その先で道に出るか一瞬悩んだが直感を信じて左に折れ、いつもの道に出ることにした。

少し日も落ちかかり薄暗がりの中、先を歩くライトを持った娘が途中で立ち止まる。「何?虫?」と私。「何だろう?ストラップやない?」と娘。どうやら何か道の真ん中に落ちているみたい。娘が手に取りライトをかざしてみるとそれは大黒様のストラップだった。先の部分が取れ金具だけがついた大黒様。どうする?と2人して悩む。悩んだ結果、電柱の灯りの下に置いておいて散歩の帰りにまだあったら、家に持って帰ろうということになった。

帰りにその前を通ると大黒様はそのままの姿でいた。2人で持って帰ってキレイに洗って金具を取る。ネットで少し見てみると七福神の中の一人で開運、縁結びなどとても縁起のよい神様のよう。

なんだか2~3日前から理由なく気分が沈んでいた私を大丈夫だよとニコニコした顔で励ましてくれているようで嬉しくなった。大黒様は偶然、道に落ちていたのではないのだろう。何事も必然なのだ。そう思うといつもと違う道を歩いたのも車が停まっていたのも、ずっとずっと前から決まっていた事のよう。意味のないことなど何ひとつないのだ。大黒様のストラップが我が家に来たのもきっと意味がある。今はその答えがはっきりと分からない2人だけど、テーブルの上にちょこんと置かれた大黒様に見守られながら安心して眠りについた。