なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

身勝手な私

数年振りにママ友の姿を見かけた。私は用事で車に乗っていて、彼女は自転車で信号が青に変わるのを待っていた。子供が別々の高校になり、彼女も家を引っ越してしまったから連絡を取ることもほとんどなくなってしまった。友達の少ない私に色々親切にしてくれた彼女。私が色々ありすぎて少し友達付き合いも精神的に大変になり、誘いも断るようになってから少しずつ縁遠くなってしまった。

今にして思えば、本当に悪いことをしたなって思う。余裕のない私は自分のことしか考えてなかった。お互いの家を行き来してお茶やお菓子で色んな話をしていたあの頃。希望があった。いつからだろう。誰に対しても心を閉ざし内にこもるようになってしまったのは。今ではどんな顔をして、自分が人と話したり接していたのかも忘れてしまった。私の髪は白くなりあまり笑わなくなった。たぶん、反対に彼女が私を見ても気が付くことはおそらくないだろう。

あの頃と変わらぬ彼女の姿。髪型も服の好みも自転車で買い物に行く感じもあの時のまま。私が今を知らないから、その時の姿のままの彼女が見えてるのか?それとも私だけが年を重ねてしまったのか?よく分からない。娘の中学校の参観日の帰り道「ここを通ると近いのよ」と近道を教えてくれた彼女。今でも時々その道を通ると思い出す、あの日のこと。彼女に教えてもらわなければたぶん一生通らなかったであろう道。住宅街の小さな路地で人が行違えるくらいのその道は人々の生活の匂いがしてなんだかあたたかく優しい彼女のよう。

色々不義理をした私を許してほしいと今更ながら後悔して身勝手に思う私だ。人は自分の前からその人がいなくなってから初めて、大切さに気が付くおろかな生き物なのかもしれない。ごめんね。もしもう一度会うことがあったら、ちゃんと謝りたい。どこかで掛け違えてしまったボタン。直せるものならって思う。