なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

もう変わっていたのかも

どうしようかな?もう一度ページをめくってみる。悩む私の後ろから、小さな虫が一匹飛んできた。その虫は開いているページの隅っこに止まって動かなくなった。ふーっと息をかけてみても動かない。少し乱暴に本をゆすっても飛んでいかない。ページをめくることもできないし、なんだか、この本いいかな・・って気分になった瞬間、小さな虫はどこかへ飛んでいった。

私は本を閉じ他のコーナーへ移動した。いつも一番に見るそのコーナー。もう十年以上そのジャンルの本ばかり色々読んだ。知らない世界を知れて楽しく夢中だった。でも最近は何か違う。それが証拠に新刊では買わなくなった。だけどこの日はなんとなくクセみたいなもので、手に取って見ていたのだ。550円という金額と名前は知っていたけど読んだ事のないその先生の本に購入を迷った時、虫が飛んできたのだ。ここのところ私は起こった出来事から意味を読み解くことに全力を注いでいる。今までは、起こることに対してあまりに無頓着すぎたといってもいい。

早速、今回の虫の件も自分なりに答えを出してみた。虫からのメッセージ「やめとけ」だと思う。人によって同じ状況でも解釈は違うと思うけれど今の私には、これがぴったりくる。もう違う方向を見なさいと小さな小さな虫は言ってくれたのだと思う。その日、110円の文庫を3冊買って帰ったのだけど、読めたのは1冊だけだった。その1冊は今までなら絶対手にしない人の本。すごくおもしろかった。というより新鮮で自分にはない考え方や発想が良かったのかもしれない。あとの2冊は今までならおもしろいと思っていたジャンルの本。全く読めなくなっていた。興味が失せ、つまらなく数ページ読んで本を閉じてしまった。

その場でもう少し深く虫の飛んできた意味を読み解いていれば、この2冊も手にはしなかったけれど、今回の失敗でもう自分が違うところを見て進んでいることがよく分かった。この十数年、意味がなかった訳ではないけれど、うまくいってもいなかった。ならば変えよう。うまくいかないのに、いつまでもそれにすがって、いつかは・・なんて思うのはもうやめよう。小さな小さな虫からのメッセージは、大きく私の胸に響いた。もう変わる時だ。