なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

2011.冬

どんよりした冬の夕方、その日私は何度も玄関の外に出て道の向こうを見た。どうしたんだろう?もうとっくに帰ってくる時間なのに・・・・。

出発の時間が刻一刻と迫ってくる。今日はもうだめだな・・そう思いつつも、もう一度玄関の外に出てみる。しばらくして諦めて家に入ろうとしたとき、走って帰ってくる制服姿の娘。私達はその日予定通り、出掛けることになった。

その日は間違いなく2人にとって人生のターニングポイントともいえる一日だったと思う。もし間に合わなかったら、どうなっていただろう。今の苦しみはなかっただろうか?こんなに長く苦悩することはなかっただろうか?分からない。でも全く違う人生であったことは間違いないと思う。それくらい、この日は意味を持っていた。今後の人生を決定づける大事な一日。誰かに強制された訳でもなく、自らが行くと選択したその日。

今になって思えばただ自分から逃げるために”行く”を選択したのかもしれない。その代償として失ったものはあまりに大きくもう元には戻らない。必要だったとはいえ、あまりにつらく長い苦悩のスタートをその日に切ることになってしまった。

人生には、そんな日が一日くらい誰でもあると思うのだ。