なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

激しくでもなんだか切なく・・・

休日の朝、午前7時前。その日は曇っていてまだ外は薄暗かった。車の通りも少なく静かな朝。そんな静寂を破るかのようなけたたましい蛙の鳴き声。ケケケケととにかく激しく鳴く。一定のリズムというか節回しのようなものがあって、まるで何か人間がおしゃべりしているような感じ。娘もその声に目を覚ました。最初は蛙の鳴き声がおかしくて笑っていたのだが、あまりに続く懸命な叫びになんだか黙ってしまった。何か伝えたいことがあるのだろうか?耳を澄まし蛙の声に集中する。私には残念ながら何を言っているのか分からない。でも蛙の必死さはすごく伝わってくる。それにしてもどこで鳴いているのだろう?台所の勝手口に近づいてみると気配を感じたのか一瞬黙る。でもまた大声でケケケケと始まる。しばらくそんな時間が続き、今日が燃えるゴミの日だということをギリギリになって思い出した。慌ててゴミを出しに行くと、蛙がひときわ大きな声でケケケと一声鳴いた。力を振り絞ってまるで「自分の存在に気が付いて」と言わんばかりに。私は心の中で「分かっています。気が付いていますから」と返した。私が心で蛙に応えると蛙はそれっきり鳴かなくなってしまった。

今日は世間ではお盆休み。もしかしたら、ご先祖様が帰ってきていて蛙の体を借りて私達にメッセージを伝えてくれていたのかもしれない。何が起こるか分からないけれど、大丈夫です。きっと乗り越えてみせます。ありがとうございます。霧のような雨が私の体を優しく濡らし、少し切なくそして寂しく一人玄関のドアに手をかけ家に戻った。もう生前の姿で話すことは夢以外、叶わないんだなあ・・なんて思いながら・・・。