なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

ある日を境に突然に

売っては買い戻し、買い戻しては売りを繰り返していた。頭が混乱していて自分にとって本当に大切なものが分からなくなっていた。だから、そっくりそのまま買い戻しては、また「やっぱりいらない」になっていた。

買い戻せるものなら、まだいいけど、そうでないものもある。ものを持つ余力も脳みそも残されてなかったのだから、仕方がない。それに何を処分したかも忘れているから、たぶんほとんどいらないものだったのだろうと思う。

この傾向はごく最近まで続いていたのだが、ある日を境に突然ピタッとやんだ。頭のなかの霧が晴れ、クリアになり自分にとって何が大切なのかが分かるようになったのだ。憑き物が取れたという表現がピタッとする。本当に何かついていたのかも。

”ある日”に起こったこととは、とんぷくが全く効かず、病院に駆け込むほどの激しい頭痛。それからなぜか今猛烈に本を買い戻している。10年以上前に読んだ本から、ごく最近のものまで。いつも読んだらすぐに売ってしまうから手元に本はない。記憶がうっすらとしていて、探すのが大変なものや、見つからないものもあるけれど、今自分に必要な本が次々と頭に浮かんでくる。そのときには、娘に頼んでネットで探してもらったりして、手に入るものは購入し読み直している。

今読んでも素晴らしい本ばかり。自分の軸のようなものがはっきりと思い出せたという感じ。私の大切なもの、他人の目線ではない自分の目線。自分を取り戻している最中なのかもしれない。大切なものまで、自分から取り上げて、自分のアイデンティティまで喪失しかかっていた。混乱した頭のせいで失ってしまったものもたくさんあるけど、必要なものは必要なときに必ず戻ってくる。それがものであれ、人であれだ。

しかし私は一体何になろうとしていたのだろう?今となってはよく分からない。本当に何かにのっとられかかっていたのかもしれないなあ。でももうこれからは誰にも何にも大切な私を奪われたりしないぞ。だって大切な大切な私だもの。