なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

マルチーズの気持ち

高校生の時、家を増築した友達の家に何人かで遊びに行ったことがあった。音楽を通じ、高校は違っていたけど、仲良くなった友達だ。その子の家は、両親が共働きだったから、お菓子やジュースを買い込んで、ワーワー言いながら玄関口へ。

広い・・・。ここで寝れるくらい・・・。新築ならではの木の香りがプ~ンとして、気持ちいい。古い家とは行き来できるように中でつながっていた。「まー入りや」と友達。

「お邪魔しま~す」と入った先に古い家の台所が見えた。

ポツンと土間に何か座っている。

マルチーズの老犬・・・。

こっちをじっと見ていた。

私は、犬が好きなので「カワイイ、一緒に遊んでもいい?」と友達に聞いた。

すると、友達が「ダメ!!かーちゃんに怒られる」と言って、犬に「あっち行って、ばーちゃんと遊び」と厳しく当たった。

しゅんとしたマルチーズの老犬。なんか子犬のときは可愛がられたのだろうなあ・・・とちょっと切なくて悲しくなった。「早く2階行こう」という友達の声より、年老いたマルチーズの内なる声が聞こえたような気がした。「私も遊びたいよ」と。その日はそのことしか覚えていない。何を話して、遊んだのかも全く記憶にない。それくらい切ない姿だった。誰だって、一緒に遊びたいよね。