なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

スペア

家族のごく近い人に「おまえのかわりはいくらでもいる。」と言われた事があった。私がその人の思い通りに動かなかった時に言われた言葉だ。私には”かわり”という発想がなく最初意味が分からなかった。

同じ事をしても全く同じになることなんてあるのかな?前に本で同じ条件でホームベーカリーでパンを焼いても微妙に違うパンが焼きあがったと読んだ。その人にしかない見えないものがパンに込められていて、違いを生んだのだと思った。やさしい人のパンはやさしい味になるみたいだ。

私も娘もその人にとっては取り替えのきくスペア人形でしかないのかもしれないなあと思った。その事に気が付いたのは、あるバンドの人たちに出会って少しだけ話をするようになってからだ。そのままの私と娘にやさしく接してくれた。無理に連れていかれたライブだったけど、私と娘はそこから変わった。自分を少しずつ取り戻そうともがき始めた。

誰もかわりなんかいない。宇宙に一人の私。娘もそう。みんなそうだと思う。

一人一人の色んな個性があるからこの世界は楽しく美しい。