なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

カラフル

チルドのピザに、小さなウインナーと茹でたブロッコリーそしてチーズを足して焼いた。「あっ、”私”が少し戻ってきている」って思った。

本当にここのところ、こんな小さな事すら出来なくなっていた。買ってきて焼くのが精一杯。酷い時は、それすらできずにいた。料理の色味や盛り付け、お皿選びなど、以前は何のことなくできていた事が全くできなくなって、どんどん自信を失っていた。

そして気づけば気力も失っていた。何もできない毎日。死んだような日々。私の目には全て灰色に見え、何をやってもダメだと無価値感を強めていくだけ、ただ息をするだけ、そんな時間を過ごしていた。小さなことだけど、ピザの色味の味気なさにブロッコリーを小さくちぎって、自然にのせた自分に自分でも驚き、そしてなんかうれしくなった。

もしかして自分は何もできない、価値がないって思わされていたのではないかと気が付く。いつもできないことに対して、「そんな事もできないのか、このダメ人間が」と言われ続けた結果こうなったのではないか。誰にだって、得意、不得意がある。不得意な事は人に頼んで得意な事で人に喜んでもらえばいいだけなのに。

本当はもっとのびのびとしていたのに、いつからか顔色をうかがって生きるようになってしまった。灰色の世界に色を取り戻そう。苺は小さなガラスの器に盛りつけようかな。サラダはブロッコリーやキュウリ、レタスにミニトマト、そしてハムをカットしてのせてみよう。

少しずつ色を自らの手に取り戻そう。赤や黄色や緑など、今は小さな点みたいかもしれないけど、点がいっぱいになったら、面になってカラフルな世界が戻るかもしれない。焦らないで一つずつ。そう自分に言い聞かせた。