なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

やさしく静かな時間

どんよりして、お日様が出ていない日は何となく気分も沈みがち。朝、娘が「何か新しい所に行きたいね」と言ってきた。ここのところ、同じような行動パターンを繰り返してきた。楽と言えば楽だけど、少し違う風も入れたい。

そこで、少し離れたコーヒーショップへ行ってみる事にした。気になっていた店。ビルの2階にあるその店は、静かで空気が澄んでいて清潔。店主の心配りが店の隅々まで行き届いていて、調度品や絵もさりげなくていい。

その店はネルドリップで一杯一杯丁寧に入れてくれる。窓際の席に座り注文をする。私はウインナーコーヒー、娘はカフェオレとハーフのサンドイッチ。音楽が静かに流れる。窓の外を見ると、街路樹の根元をつつくハトや犬の散歩をしている人などが見える。平和な風景。

しばらくしてコーヒーが運ばれてきた。ウインナーコーヒーは生クリームが渦巻きになっていないタイプ。カフェオレは店名が入ったカップに入れられ、サンドイッチはキチンと折られたナプキンの上にキレイに盛り付けられていた。すごく、丁寧な仕事であることが、一目見て分かる。一口飲んで、2人とも「おいし~」と声が出た。ネルドリップで入れてくれたコーヒーは優しく、すっと体にしみわたる。トゲトゲしていないのだ。私達がそうやってコーヒーを堪能している間も店主はハンドピックで欠けた豆などを取り除いている。手間を惜しまず、一杯一杯に真摯に向き合う姿に感動した。この店の澄んだ空気感といい意味での静けさ、そして心のこもった一杯。店主の心そのもののお店だった。帰りには、購入したコーヒーの本について説明していただき、色々教えてくださった。

ずっといたいと思うお店だった。やさしく、さりげなく、そして、丁寧に、そうしてずっとコーヒーを入れてきたのだなとその店主の姿を見て思った。私もこんな風に静かに丁寧に生きたいなあって思わずにいられない人だった。ごちそうさまでした。文庫本からチャレンジしてみます。帰ってすぐ、また行きたいなあって思った。