なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

熱気の中の静けさ

もう30数年前、高校生だった私は友達と2人で授業をさぼり、地方のお祭りを見に行こうと電車に乗っていた。駅を出発して間もなく友達が窓の日よけを上げたとき、市内の大きな道路の踏切に電車が差し掛かっていた。バイクに乗った男性がちょうど踏切が開くのを待っている。

のんびりとした鈍行の電車、はっきり顔が見えた。先生だった。ヤバッ。そう思ったけど、もう後の祭り。次の日、学校に行くと「お前ら、どこに行ってたんだ」とたんまり叱られた。

その友達と私はともに親が離婚していて、大人のなんだか汚いところや自分たちのやるせない思いなど、他の友達には理解してもらえない気持ちをよく2人で話していた。それほど、不良にもなれず少し学校をさぼって喫茶店に行ったり、髪にパーマをかけたりするくらいで、なんとなく気持ちをなだめ生きていた。その日はお祭りのフィナーレ。太鼓の激しい音や男衆の掛け声と熱気を2人静かにみた。

心の中にどうにもならない、寂しさを抱え、これから大人になって生きていく不安に押しつぶされそうになりながら・・・。今、彼女はどうしているだろう?私はなんとか元気だよ。色々あるけど、まあ生きてる。そのお祭りを見るたび思い出す。静かな静かな2人の心。