なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

その時点での未来

今から10年くらい前だろうか、私は1人霊能力者と呼ばれる人の所へ電車に乗って行ったことがあった。今よりもっと苦しみ悩んでいた頃だ。今はもうある意味なるようになれと開き直った気持ちに少しはなれたが、その時は違っていた。不安と期待が入り混じって朝からほとんど何も口にできなかった。

駅に着き、なんとか迷いながらもマンションのある一室にたどり着いた。部屋に通され、先生が自身の著書のあるページについて話し始めた。私が本を読んで訪ねてきたと言ったからだ。「あのページどうでした?怖かったでしょ?」と言うので、私は「別に」と答えた。本当に「別に」なのだ。オカルトとか心霊が好きなら食いつくページだろうけれど私は今、悩みを相談に来ている。少し違和感を感じた。

みてもらった私の未来は「一人で部屋にいる」とのこと。ふ~ん。それは私の相談内容を少し考えれば答えられるありえる未来の一つであろう。先生は私にいくつか質問をした。それに私は自分の考えを述べたのだが、それに対して先生は「あなた、もう何もかも分かっているじゃないですか」と言った。それくらいの事は本を何冊か読めば誰でも言えるくらいのものだ。私がこうしようと思っているが、どうでしょうと訪ねても、「やればいいじゃないですか」と言うだけ。がっくりときた。遠くまで一人アルバイトで貯めたお金を使ってきたのに・・・。情けなかった。自分を信じず人が言ったその時点での未来を信じようとしていた自分が・・・。

今現在その霊能力者のみてくれた未来とは違う毎日を送っている私。あらかじめ人生が決められていたとしても、自分が考え選択をし、自分を信じ生きていきたい。誰よりも自分のことを分かっているのは自分なのだ。他人がどうこうできるものではない。

例え、私が誰かに相談してその通りにしたとしても選んで実行するのは結局のところ、自分なのだから。自分の意見のようでいて、その実、他人からの刷り込みであったとしても自分が考え自分が舵取りをしようとする姿勢が大切なのだと思う。悩み苦しんでいる時は、誰かにすがりたくなるけれど、すがるべきは自分。今はそう思う。