なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

霧の朝

数日前の天気予報は晴れだった。だがふたを開けてみると雨。せっかくの遠出だけど仕方ない。雨もいいものだ。始発の電車。ほとんど人はいない。電車が進みだし少しずつ夜が明け、明るくなる車内。窓から見る景色は雨に洗われ、とてもキレイだ。人々が眠りから覚め始め、住宅の窓には明かりが灯り、温かな光が平和に辺りを照らしている。空との境が曖昧な白い海は凪いでいて静かだ。早朝から荷物を運ぶトラックの列。遠くから来たのだろう。もう街は動き始めている。

家を少しだけ離れ環境を変えてみようと考えた。気分が変われば良くなる何かのきっかけになるかもしれない。そう考えてのことだ。今まで出来ることは何でも実行に移してきたつもり。結果を気にせずダメならダメでもいいと思えるようになったのは最近のこと。最初は落ち込むことも多かった。気長にゆっくり少しずつ、それしかない。

山には霧が立ち込め、日本画のように美しい。霧の中にいると何も見えないけれど遠くから見る霧は幻想的で神秘的。自分達も少し離れて見てみれば困った状況でもないのかもしれない。霧が晴れるまでじっと身をかがめていれば、2人ぼっちだと思っていた世界も本当はそうではないと気が付くだろう。空振りに終わってもいい。身をかがめながらも少しずつ手探りでやれることをやろう。無駄だと切り捨てず、考えつくことは何でもやる。結果よりも、もしかしたら、その過程に意味があるかもしれないから。