なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

時は来た

カレーうどんを食べたせいか、その夜私は眠れなかった。なぜかカレーを食べるといつも眠れない。それならいっそ起きていて小説の続きを読もうと思った。何もせずもやもやするよりは精神衛生上ずいぶんましだ。そして読みかけの小説を一気に読了してしまった。

読み終わった小説の中に常識的に考えている間に物事が手遅れになってしまう場面があった。そのシーンに私は今の自分を重ねていた。そしてエアコンの冷房の青いライトに照らされたほの暗い部屋のソファーにぼんやりと座っている娘の姿が残像のように薄白く思い出された。

その姿を見たとき私は一体何をしているのだろうと激しく思った。何を守るためにここに居るのか?自分か?ぬるま湯に浸かり言い訳をし、娘を苦しめているのは私ではないのか?ずっと以前から分かっていた答えを自分が出す事を遅らせていたからこうなってしまったのではないか・・。ここにいてはダメだ。ここで少しずつ蝕まれて自分が腐っていっているのも分からずに亡霊のように生きていた日々。自分だけならまだしも娘を巻き込んでしまっているではないか・・・。

いつまでも過去に縛られ苦しめられ自分を哀れむ生活にピリオドを打たなければ。もう何もいらない。数着の服と大切にしているぬいぐるみ達、ほんの数枚の写真、そして大切な娘。何もかもおいて行こう。前よりはずっと何も必要がなくなった2人はどこでも生きていける。時は来たのだ。