なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

スパンコールが教えてくれたもの

娘は今、編み物に凝っている。無心に手を動かす時間が彼女には今、必要みたいだ。手芸店で毛糸を見るというので、ついて行って色々見る。私もミシンが壊れる前は、趣味として縫物をしていた。娘が子供の頃は、袋や夏に着る簡単なワンピースなどを作ったりと手を動かすことは嫌いではない。だけど、今、何もする気が起きないし、やっても出来ないことが多い。そして出来ない自分を責めてしまう。なので、なるべくそうならないよう予防策として、色々興味が湧いても手を出さないようになってしまった。ますます何もできなくなる。負のループ。

ワゴンに処分特価の文字。ボタンやビーズ、毛糸などジャンルごとに袋いっぱいに店員さんが詰めてくれているお楽しみ袋のようなもの。外からは全容は分からない。娘が毛糸を見ている間、一つ一つ手に取り中身をうかがう。税込み499円のその袋を買うのにすごく悩んだ。安い高いよりも、持って帰って何か作らなきゃみたいになるのがイヤなのだ。想像力も気力もない今の私に何ができよう・・火を見るより明らかだ。

そんな私の様子を察して娘が「2つか3つ使えたら元取れるよ。どうしても使えないものは処分したら?」と言うので、心が少し楽になり思い切って一つ買ってみることにした。そうだ、ダメならダメでいいではないか・・・。何かこの状況を変えるキッカケになるかもしれないし・・・。帰って袋を開けてみるとスパンコールが大量に入っていた。キラキラした大小様々、色もカラフルで、お店の棚に引っ掛けてあるのをごっそり入れたくらいある。全部付けたら、スターになれそうな量のスパンコール。今の自分には欠けているキラキラ感。光を反射させ、光を身にまとうためのもの。なんだかいつも光を避け影に立っている自分に神様が「もう少し自分を大切にして。光を浴びたら?」と言ってくれてるみたいに思った。

大量のスパンコール・・何かに縫い付けてみようかな?キラキラ光るものを身につけ少しだけ勇気を出して光の下に出てみよう。スパンコールの力を借りて、光を集め、自分をピカピカさせようではないか・・。今の自分に欠けているものを教えてくれたスパンコール、本当にありがとう。大量すぎて、どうしていいのか分からないけれど、これくらいの量が今の私には必要なのかもしれないな・・。

そういえば、昔幼き頃の娘は、コンサートで言うアンコールをスパンコールと勘違いしていた。なんか思い出す。カワイイな・・。