なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

サンタの60秒

いつも何かあると地域の人たちが集まる時に使う集会所。公園のそばにあった瓦ぶきの平屋から、その日はとてもにぎやかで洋風な雰囲気がしていた。

開け放たれた扉や窓からラジカセで流されている定番すぎるクリスマスソングが聞こえてくる。私も弟を連れ皆んなに混じって席についた。長方形の机にはすでに等分に切られたケーキとジュースがキレイに並べられていた。手書きのメリークリスマスの文字や折り紙で作った飾りつけがされた室内にピカピカとせわしなく光るツリー。そうこの日は地域のクリスマス会。皆んなでじっとまだかまだかとクリスマス会が始まるのを待っていた。

ほどなくして、サンタが「メリークリスマス」と言って引き戸の奥から出てくる。どっかで見たことのある顔・・・。誰かのお父さんかな?・・・。

そんな私の気持ちなどお構いなしに、サンタになり切った世話役のお父さんが大人たちが考えたであろうクイズを繰り出してくる。その中で私が唯一記憶しているクイズは、目をつむって数をかぞえて1分たったと思ったら手を挙げるというものだった。ピッタリ賞なるものを少し年上の男の子がもらっていてすごいな~って思った。

でもなぜだか後は、どんなクイズが出たのか何をしたのかほとんど覚えていない。歌も歌ったりクイズ以外にも色々あったと思うのにすっかり忘れてしまっているのだ。それほどそのクイズが私の中でなぜか強烈な印象で他のクリスマス会の記憶を押しのけてしまったのかもしれない。

畳にきちんと正座してケーキを食べて、わいわいがやがやおしゃべりしながら楽しんだ平和でのんびりした昭和のクリスマス。おおらかな時代の懐かしい思い出。手作りでなんだかとても温かいクリスマスだったな・・・。