なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

立派な仕事

「家事も立派な仕事やで」

ある人に言われた励ましの言葉。

その頃、私は悩んでいた。お金にならない行為に対し夫は「そんなことをしてどうなるんだ」と常々言っては、家事や育児を軽視し、いくら頑張っても認めようとはしなかった。して当たり前なのだ。

そのことをなんでその人に話すことになったのかは忘れたけど、たぶんご飯か何かの話をしていて、そうなったと思う。その人の家では、硬い肉に奥さんがなにかの粉を振りかけると、柔らかくなるみたいな事で盛り上がったと思う。「なに、その粉?」「分からへん、とにかくな、それ振りかけたら、柔らかなるねん」と笑わしてくる。魔法の粉だ。(笑)その流れで私がぽつっと行った一言に彼が返してくれたのだ。「家事も立派な仕事やで。何もそんな自分の事価値がないとか意味がないとか思ったらあかんで」と言ってくれた。そして私が「自分がこうやって外に出ない方が家庭がうまくいくんじゃないかと思う」と言うと、「そんなん、あかん。外に出て何が悪いんや。家に閉じこもっとったらあかんで」と。なんかいつもそんな感じじゃない彼がマジメな顔でそう言った。グチを言うつもりではなかったけど、悩みすぎて誰かに聞いてほしかったのだろう。ついこぼしてしまった一言に、彼は真剣に答えてくれたのだ。何でもお金で価値をはかる夫に、私はなんだか冷たいものを感じていた。現実的にはお金は大切なものだけれど、それだけではないものもあるのにな・・・なんて。

その彼とはそれっきり何年もあってないけど、今でもその言葉に励まされる時がある。本当にありがとう。