なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

大切な入れ物

いつもなら負けない相手。

粉々にして相手を自分の中に取り込み、自らの栄養にするくらいは朝飯前だったはず。まさか自分のその部分が内部から崩れ、外壁だけのハリボテになっていたなんて思いもしなかった。粉々に砕け散ったのは自分の方だ。

異変にも気付かないほど、自分に注意を向けず大切にもしていなかった頃の話。

そう、私の奥歯はソフトフランスパンに負けた。

ソフトで甘いクリームを身にまとった大好きな彼に・・。完敗だ。ハードでもないソフトな優しい彼に・・・。

なんだかすごくおかしくなった。”ソフト”フランスパンに負けた私の歯って、いったい何だったんだと。

体は魂の入れ物だ。大切にしなくてはいけない。

その頃の私は、今まで欠かさず通っていた歯の定期健診にも、面倒くさくて行っていなかった。自分の体をいたわり、体の心を聞くことの大切さを忘れていた。それほど余裕がなかった。

体という魂の入れ物が健康で丈夫でないと、心もなんだか頼りなくなる。安心できない感じだ。自分の体に愛情を込めて手入れすると、体もそれに答えてくれる。そんな、ごく当たり前のことも忘れてしまうくらい大変な時もあるけど、少し気にかけることで、大好きなソフトフランスパンを美味しく味わうこともできる。

普通のことが普通にできるありがたさに、気が付いた出来事。体って、大事!