なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

片足とび

小学生の夏休み。私は真ん中の弟と2人、学校のプールに来ていた。水着に着替えて、それぞれの友達と泳いで、時間になると体育館の横で待ち合わせて2人で帰る。たぶん、まだ弟が小さかったから、一緒にプールに行っていたのだと思う。弟が出てきた。「帰るよ、ぞうり履き」というと、「うん」と弟。キョロキョロしている。「どうしたん?」と聞くと、「ねーちゃん、おれのぞうりがない」と言う。私も必死になって探した。何の変哲もない安いぞうりである。誰かが羨ましがって、取っていくような代物ではない。だが、ない・・・。たぶん間違えられたのだと思う。

しばらく探して、私は半泣きの弟の前で、決断してこう言った。「ねーちゃんのぞうり片っぽ貸してあげるから、ケンケンして帰るよ」と・・・。夏の暑い昼のこと。アスファルトの道は焼けていて、裸足で帰ることはできなかった。おんぶして帰るのには、弟はもう重い。それしかない・・・。頭の良くない姉と弟。先生を探すとか、大人に言うとか考えもつかなかった。ケンケンで片足とびをして、ぞうりを入れ替えて、またケンケンとび・・・。いつもの何倍もかかって山の方にある家の坂道を歩いて行く。「ねーちゃん、しんどい」と弟が言えば、しばらく影を見つけて休む。根性でなんとか家までたどり着いた2人。

いつもケンカばかりしていたけど、姉としての使命感から頑張ったと思う。方法としては上手くなかったけれど、なんだかそれも私と弟にぴったり合ったやり方だったかもしれない。

 

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