なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

上品さの定義

「わしは上品な男じゃ」と父はいつも言っていた。

「ふ~ん」と私が答えると父が「どうしてわしが上品な人間か知っているか」と言ってきた。

「わからない」と私。

父は胸を張りこう言った。

「わしは、ちりめんじゃこの頭を一つ一つ取って食べているからだ」

私は大笑いした。

すると父は怒りだし「魚を頭から丸かじりするなんて下品な奴のすることだ」と言ってきたのだ。

でも魚を串に刺して塩焼きにしたのなんかはどうなんだろう?ししゃもは・・・と色々考えると分からなくなってきた。そもそも上品さって何で感じるんだろう?その人のちょっとした仕草や言葉遣いなどから感じるものなのではないかな?自分からわざわざ宣言する事なのかな・・・謎だ。

私は「えっ?いつもそうやって食べてるの?」と聞くと「わしは魚が大っ嫌いだから食べん」と言う。

???

どうやら昔付き合っていた女性に下品だと言われた事がトラウマになり、その女性の前ではそうやって食べていたらしいのだ。

「そんなの気にせんで好きに食べたらいいよ。」と言うと父は「おう。」と言った。

そんな心ない言葉なんか気にせず楽しく食べたらいいと思う。ちりめんじゃこも、丸ごと食べることで栄養もちゃんと取れるんだし。私は父がちりめんじゃこを食べているのを見た記憶はないから知らないけど、かなりの苦行だったに違いない。