なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

勇気をくれたヒーロー

朝コーヒーを飲むのに使うマグカップ。あるマグカップを割って以来、ずっと心から気に入ったものに巡り合えていない。その運命とも言えるマグカップは、私が18か19歳くらいの時、雑貨屋さんで買った、アンパンマンのマグカップなのだ。からし色で丸くてかわいい形。アンパンマンは絵本のアンパンマンぽくて、ローマ字で確かアンパンマンと入っていたように記憶している。優しいアンパンマンの顔とからし色がよくて、長年愛用していたのだが、ある時、手が滑って落としてしまい、取っ手のところが割れてしまった。寿命だったと思う。かれこれ15~6年は、このマグカップとともに朝を迎えていたから、悲しかったけど、泣く泣く処分した。それからは色々なマグカップを渡り歩いた。キャラクターものや土物の渋いカップ、他には蕎麦猪口の時もあった。どれも悪くはなかったけれど、でもなんだか違う。

私の中では特別だったそのマグカップ。悲しい朝も体がしんどい日も誰とも会いたくない時も元気と勇気をくれたアンパンマン。そのアンパンマンのマグカップを思い出す時、自分の色んなことも頭に浮かんでくる。今は白くてそっけないマグカップ。ようやくアンパンマンの次に気に入って長く使えそう。この白いカップみたいに色の付いていない、まっさらな気持ちでやり直したい。だから、勇気をください、アンパンマン。あの頃のように・・。不安定でどこか落ち着かない気持ちでいつもいたから、マグカップもとっかえひっかえしてしまったのかもしれない。自分の安住の地は、ここではないってどこかで知っていたから・・・。自分の心を映していた行為だったと、今、分かった。