はっきりと気が付いた日

とどのつまり真の意味で失うものなんか何もない。どうせあの世に何一つ持ってはいけないのだ。全部神様や宇宙からの借り物なのに自分のものだって勘違いして必死になっていた。握りしめていた手をぱっと放してこそやっと次のものがつかめるというもの。手を開いて今まで大事だと思っていたものをじっと見てればしわしわのくちゃくちゃで何のこっちゃ分からない。

思い切ってぽいっとゴミ箱に捨ててみる。ついでに手も石けんでキレイに洗う。なんだか黒くてべったりしたものが水と一緒に流れていったようで、手には石けんのいい香りがして心なしか血色も良くなっているようだ。

長い間大事だと思っていたものは、小さく黒く固くなって力なくゴミ箱に消えていった。何十年もそれがなければ生きていけないんだと思い込んでいて、大切にするものでもなんでもなかったものを守るために自分を傷つけていた。傷だらけになっても気が付かず一人悩み苦しんで・・・。

でも今ようやく目が覚めたみたいだ。クリアな視界で冷静に見てみれば相手は思ったより小さく弱い。一人じゃ何もできないんだ。私は一人背を向け立ち去る。そうこれからは自分の足で人生を歩いていくのだ。もう決して振り返る事はない。さようなら、バイバイ。

 

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