なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

丸い心のまんまるおにぎり

中学の時、何人かの友達と誘い合って遊びに行くため私は友達の家に行っていた。友達はまだ支度ができていなかったから、玄関のところで座って待っていた。

すると、友達のお母さんが、私を待たすのを申し訳なく思ったのだろう。ソフトボールくらいあるおにぎりを作って玄関口の私に持ってきてくれたのだ。

「これでも食べて、待っていて」と。「ありがとうございます」と受け取り、口に運ぼうとしたとき、ツ~ンとした。

なんとほかほかの酢飯のおにぎりだったのだ。まだ、ご飯が温かくて酢がむせるくらいの存在感を放っていた。たぶん友達の家の夕食はお寿司に違いない。お母さんは酢飯を今から冷ますところだったのだろう。ケホケホ・・むせながらもおにぎりを食べる私。少しして友達が来て、「かーちゃん、これむせるって」と助け船を出してくれた。ホッ。

子供が小さい頃はよく、ちらし寿司や手巻き寿司を作った。酢飯を冷ます時、いつも思い出すのは、このソフトボールのおにぎりのこと。料理上手の友達のお母さん。いつも遠足にその友達が持ってきていたサンドイッチのお弁当、とっても羨ましかったなあ・・・。突然の来客でも人をもてなすという温かい心をお母さんに教えてもらった気がする。