なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

アメリカンな日曜日

「ほれ、食べんかい。うまいぞ。」と日曜日の遅い朝、TVを見てダラダラしていると、家族の前にドカッと置かれるケンタッキーバーレル、2つ。脇にはレンタルしたビデオ、そしてナイロンに入ったコカ・コーラを下げている義父。ある時期の日曜日の風景だ。

義父は、凝り性なところがあって、一度気に入るとしばらく食べ続けるというところがあった。この頃は、ケンタッキーとシュワちゃんシュワルツェネッガーさん)の映画にハマっていた。ケンタッキーを食べながら、コーラを飲み、シュワちゃんを観る。すっごいアメリカだ・・・。だが、実際は畳の上の座布団に座り、柱を背もたれにしている義父。そうして、日曜日の遅い朝はにぎやかに過ぎていく。ビデオを借り、ケンタッキーを買って家に帰るという義父のゴールデンな日曜日のルーティンはしばらく何週間か続き、そしていつの間にか、義父のアメリカは家族の知らない間に終わっていた。

なんだか、のんびりしていてよかったな・・・義父も母も弟2人も皆んな元気だった。ダラダラとTVを観てめいめい好きに過ごす日曜日。何の生産性もない毎週末。でもそういうのんびりした時間がとっても大切だったのだと、今になってしみじみ思う。四角四面じゃない日々。なんかそれでよかったのに、いつからか人生の意味は?なんて考え始めてしまった。意味なんてないよ。楽しく生きようよ。思い出の中の家族の笑顔が私にそう言っているようだ。

もう戻らない、アメリカンな日曜日。自分のしたいようにする子供のような義父に振り回されっぱなしだったけど、今はそんな義父がとってもうらやましい。少し、ノスタルジックな気分になって涙が出る。はちゃめちゃだったけど、皆んななぜか幸せだったなあ・・・。思い出の中の日曜日は、明るくてどこまでも平和だ。