なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

欲のゆくえ

最近何でもおいしくいただけている。以前なら絶対に口にしなかったものもありがたく喜んで。家族が全員アレルギー気味で自分自身も体がしんどくて何とか元気になりたいと思っていたこともあるから、食養生と呼ばれるものは、色々と試した。教室に通った時期もあった。オーガニック食品も取り寄せ、週一回の生協の食材以外はほとんど口にしなかった。娘にも甘いジュースやジャンクと呼ばれるような物は一切与えなかった。

今となってみれば、それは大変勉強になったと思っているが、もう一方でかなり偏った思考をしていたようにも思える。美味しい、何となく調子がいいというものを越え、もはやそれ以外は悪のように感じるところまできていた。

そんな私が以前のようにごはんを食べれなくなったとき、救ってくれたのが、昔は敵視していた食品たちだった。ありがたくお世話になっている。その頃勉強した知識は今も役に立っているし、何となくいい塩梅なところに着地していると思う。

昔は人よりも気を使ったものを食べている自分をすばらしく思っていた。よりおいしいものをより安心安全なものをと欲望は膨らみ続けた。環境に良いことをしていると思っているから欲にからめとられている自覚がないのだ。すばらしいものを口にしている自分はすばらしい人・・・私は長い間そう思っていた。おいしいねって作ってくれた人に感謝していただくことが、一番大切なんだって、食べれなくなって改めて気が付いた。食べることも含め、全てのことに良いも悪いもないのだ。命をいただいていることを忘れず足るを知り、今日も生きる。