なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

くるっくるっ。はかまのリズム

子供の頃、春になると、つくしを採りに行っていた。両親と弟と家族総出で。ナイロン袋を持たされて、土手の”つくしポイント”に連れていかれる。それから黙々とつくしを採る。長くてひょろっとしたのや、小さいの色々あった。小さいのはこれから成長するから、置いておいて長いのを摘む。ひとしきりかがんで土手を進んでいくと、袋いっぱいにつくしが採れた。

家に帰ったら、またひと仕事手伝わされる。つくしのはかま取りだ。手ではかまの一部をつまみ、くるりと一周。きれいに取れるとなんかうれしい。ぶちっと、はかまとりに失敗すると途中でつくしが折れる。悔しい。子供だから、そんなのやってどうするんだ・・なんてことは考えない。その手伝いの中にも、楽しみや自分なりのコツなんかをみつけて楽しんでやる。爪がつくしのアクで真っ黒になるけど、はかま取りがリズムみたいになってくると、気にならなくなる。くるっくるっ。たくさんのはかまのつくし、少なめのつくし、頭が開いてなんか緑の粉を出しているつくし、一本一本、丁寧に取る。バケツの中に水を張ってアクを抜く。

アクを抜いたつくしは、母が卵とじにしてくれた。少しほろ苦いつくし。自分が採ったつくしが、ごはんのおかずになるうれしさ・・・。

今は色々あるから勝手に採ったりしたら、いけないのかもしれない。でも昔はそうやって、おかずの調達をよく手伝わされていたなあ・・・。自分の住んでいる、近くにあるものを季節にそって食べる・・・食養生でよく言われることを自然にできた、よき時代。そういえば母方のばあちゃんは、つくしが大好きだった。今、思い出した。