雨に濡れ黒く光るアスファルト。曇った空の下でも相変わらずまじめに真っ直ぐな白い駐車場のライン。降り続く雨でできた小さな水たまりに駐車された車の色が水彩絵の具のようににじんでいる。あざやかなブルーとピンク。黒い地面にそれらは美しく映えている。
そんな景色をぼんやりと窓の外に見ながら、娘と2人コーヒーを飲む。病院の帰りに立ち寄ったカフェ。今は時間も天気も気にせずゆっくりと過ごす。娘の日常も自分の日常も大きく変わり、世間とはズレてしまったけれど、もしかしたら本来の自分を少しずつ取り戻していっているのかもしれないなんて思う。そしてほんとに少しずつだけどいい方向に変わっていっている。窓の外に降り続く雨を見ながら自分達が歩んでいっている道に間違いはないと一人うなずく。
そうゴールは必ず幸せと決まっているのだ。少しずつでいい、その道をゆっくりと2人歩いていく。