なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

それぞれの時間

ぶ~ん、ぶぶ~ん。

庭で大きな羽音がしている。その日、私は一人草を抜いて、落ち葉を拾っていた。いつも下ばかり向いている私。あまりの羽音に恐怖を感じ上を向く。オリーブの花が咲いていた。去年だいぶ剪定したから下の方に枝がなくて、気がつかなかった。もうそんな季節か・・。毎年ちゃんと花を咲かせ、実をつけるオリーブ。ほったらかしの私だけど、彼らはたくましく生きている。実はいつも通りすがりの人や近所の人に聞かれるのだけど、何にする訳でもない。ただ熟すまでほっておく。すると鳥が来て、実を喜んで食べるからそれでいいかなと思っている。その羽音の主は、どうやら藤棚なんかでよく見る、ずんぐりむっくりした大きなハチだった。クマバチだと思う。ぶ~ん、ぶぶ~ん。夢中で花粉を集めている。なんだ、クマバチか。クマバチは悪いことはしないから、私も安心して落ち葉を拾う。

ぶ~ん、ぶぶ~ん、カサカサ。オリーブの上と下でクマバチと人が仲良く作業をしている。なんか、いいな~。話すわけでも一緒に何かする訳でもないけれど、一つの木の下で静かにめいめいの事をしている。欲張って縄張り争いをすることもなく、それぞれ黙々と・・・。オリーブの木も何も言わない。静かで穏やかな時間。自分が出来る事をして、人に与えられるものは喜んで与えて静かに暮らす。そうやって生きていきたいものだ。自然はいつも多くのことを学ばしてくれる。