なんだ大丈夫じゃん

イラストと文で紡ぐ母と娘の日々のこと。

小さな雫の大きな力

オレンジ色のぼんやりとしたひかりの中、一人湯船につかりながら、誰に言うまでもなくつぶやく「まだやれる、がんばれる」と。洗った髪の毛から落ちる雫が、お湯に波紋を広げ、動かしていく。こんな小さな雫でも湯船いっぱいのお湯に変化をもたらす。丸く広がった波紋はすぐに消え、また雫が新たな形を作り、そして消える。

最近、悲しくても涙が出ない。悲劇のヒロインを気取り、さめざめと泣いていた私はもう過去のものとなり、その存在さえ見えなくなってしまった。泣いている時間はもうない。次々と起こる悲しく、悔しい出来事。どうして平凡じゃないのかと自分の運命を呪ったこともあったけれど、今はその先を見ている。解けない宿題は人生に与えられないという、使い古された言葉がぴったりくる。泣いていた自分につけこみ、自分の意のままにしようと近づく人もいたけれど、そんな心の寂しい人達とは、自然と縁遠くなり、自分がやるべきこと、やらなくてはいけないことを考える時間ができた。自分が意図しなくても、行くべき道にちゃんと導かれている。

世間的には失ったものも多いかもしれないが、私は何も失ってはいない。誰にも依存せず、内なる自分と対話し進んでいく。過去から今ではない。未来から今なのだ。自分はすでに全て知っていて、今すべきことをしている。自分を信頼し、ただ進んでいくだけ。少しずつ余計なものがそぎ落とされ、だんだん輪郭が見え始めた。もうすぐだ、頑張れ。

2人ぼっちじゃないと気が付いた夜。遠くから大きな優しさで包み込んでくれる人がいる。仕方なしにここに居るのはやめて、自分達の魂が喜ぶ所へ行こう。その場所は、自分達が、知っているはずだ。